
Business and future
私たちの仕事は、暮らしの生命線。ライフラインに関わる「真のコンサルタント」として人々の安全・安心な生活を根底から支えていきましょう。
ライフライン分野
日本インシークが手掛ける「ライフライン分野」とは
- 生活に欠かせない「上水道」「下水道」「電力」のライフラインを支える分野
- より安全で安心・快適な生活空間の維持向上のため、上下水道事業、電力を中心としたエネルギー事業の運営に貢献する分野です。
- 上水道分野
- 下水道分野
- 電力分野
Member
T.Y
Y.F
01. 分野のアウトライン
「ライフライン分野」ではどんな事業に取り組んでいますか
T.Y:私たちの仕事は、止めることのできないライフラインを支える仕事です。分野は大きく分けて3つ、安全な水道水を供給するための「上水道」、使用された水を綺麗にしたり、雨水を排除するための「下水道」、電気の供給に必要な「電力」。どれも人びとの生活に欠かせないライフラインにおいて、主にこうした施設を築造・改築するために必要な、調査・計画・設計・維持管理を行っています。
電力分野に関しては、現在稼働している発電施設の維持・更新に加え、再生可能エネルギーなどのグリーンインフラとして、ダムにためた水を利用して発電する水力発電に関わる調査・計画・設計にも注力しています。
ライフラインを持続的に供給するための戦略を組み立てる「真のコンサルタント」
T.Y:まずはじめに「上下水道」というのは、料金収入と税金を資金として運営されています。近年では、社会課題であるインフラの老朽化や自然災害への対策が急がれる一方、労働人口が年々減ってきているという深刻な問題があります。
するとどうなるか。対策はしたいけど資金が足りない、さらには自治体の職員も減っていっている、という良くないことだらけなのですが、「ヒト・モノ・カネ」が減少しているなかでも、人々の生活や企業活動などを維持するためには、絶対にライフラインを止めるわけにはいかない。こういった背景があって、上下水道事業の運営をどのような形にすることができれば、持続的に安定してライフラインを供給していくことができるだろうか?ということが注目されるようになっています。
Y.F:こうしたなか、私たちは「真のコンサルタント」を目指し、共に上下水道事業の運営戦略を組み立てることで、自治体を支援する取り組みを推進しています。具体的には、将来このまま資金が減ったら、財務状況がどうなっていくのかをシミュレーションしています。この財政シミュレーションをもとに、「事業運営の効率化」「予算執行の選択と集中」「ICTを活用したコスト縮減や高度化・効率化」などの視点から、持続的で安定したライフラインの供給を実現するためのさまざまな方策を検討しています。
こうした事業の運営戦略の立案は、シンクタンクなどが参入することが多いですが、シンクタンクでは具体的な施設などの設計は行っていないため、対応できる分野が限定的なものになります。一方で、我々建設コンサルタントは、調査・計画・設計・維持管理と事業サイクルのどのステップでも対応できることが最大の強みです。自治体職員の人材不足を鑑みると、調査・計画・設計・維持管理のサイクルを一気通貫で同じ会社に任せられる体制が一番良いんです。そこに注目し、他社に先駆けて、上下水道事業の運営戦略を立案する事業に参画し、これまでにさまざまな自治体をサポートしてきています。
T.Y:こういった事業運営戦略の立案やシミュレーションを行うには、上水道や下水道の事業全体の高く幅広い技術力が求められます。このため、我々がこれまでに培ってきた様々な知見や技術者のノウハウなど、建設コンサルタントとしての総合力を最大限に生かすことができる新たな事業フィールドだと思っていますし、今まで以上に社会に貢献していける事業だと感じています。
02. 社会課題と取り組み事例
社会資本整備では、「ストックの老朽化」「自然災害の激甚化」「人口減少」が大きな社会課題となっています。これに対し、各分野の取り組み事例を教えてください。
効率化を図るPPP/PFIの取り組み
Y.F:国民の生活に必要な社会インフラは国や地方自治体が整備しますが、調査・計画・設計・施工・維持管理の全てを単独で実施することはできません。そのため、調査・計画・設計では測量会社・地質会社・建設コンサルタント、施工は建設会社が役割分担を行って支援しています。このように設計・施工を分離することは、コスト縮減、品質向上、アカウンタビリティの確保などの点でメリットがありますが、施工に至るまでのサイクルが複雑化するため、整備に要する期間が長期化しやすいといったデメリットもあります。
ところが、近年では人口減少にともなう税収の減少や国や地方自治体の職員数の減少が社会的な課題となるだけでなく、従来までの事業に加えて、老朽化や防災・減災への対策も求められるようになり、国民の生活の維持・向上や国土の発展等に対して新たなアプローチが求められるようになりました。
このような背景から、近年では、事業ごとに建設コンサルタントを含む複数の民間企業が集まって共同企業体(ジョイント・ベンチャー、JV)を構成し、これらの民間企業が持つ資金力・技術力・ノウハウなどを社会資本整備に活用することで、効率化やコストの縮減、さらには公共サービスの向上などを図っていく「PPP/PFI」という手法が注目を集めています。
私たちライフライン分野は、対象としている施設等の運営に利用者から徴収される料金収入が充てられていることから、非常に相性がよい事業と考えており、私たちも様々な民間企業とJVを構成して積極的に参加しています。
T.Y:これまでに関わってきた調査・計画・設計を単独で行う業務でも感じていましたが、様々な社会課題がある中でも中長期的に安定して良質なライフラインを提供していきたいという想いや熱意を国や地方自治体の職員と共有しながら、JVを構成した各企業の総力を結集させて課題の解決や将来像の実現に向けて取り組んでいるので、建設コンサルタントの技術者として非常に大きなやりがいを感じています。
激甚化する豪雨被害への対策
Y.F:近年では、気候変動の影響などから、台風や豪雨が毎年のように猛威を振るうようになってきています。このとき、降水量が下水の排水処理の能力を超えると、広範囲にわたって浸水被害を生じる恐れがあります。こういった豪雨などに備えて、下水道分野では一時的に雨水を貯めておくための雨水貯留施設の整備に取り組んでいます。
今までは、ライフラインを維持・整備することで人々の生活を支えるんだという想いで取り組んでいましたが、災害に強いまちづくりや防災・減災の視点も求められるようになってきたことで、より大きな視点から建設コンサルタントとして広く社会に貢献していきたいという気持ちが強くなっています。
環境にやさしいグリーンインフラの推進
T.Y:再生可能エネルギーの拡大が重要な課題になっているなか、いま水力発電が改めて注目されています。さまざまな発電方法のなかでも、特に環境に配慮した「小水力発電」に期待が寄せられています。環境に配慮しながらいかに効率的に電力量を生み出せるか、こうした計画・提案に携わっています。
03. ICT活用と、未来に向けた取り組み
現在活用されている技術や、未来に向けた取り組みを教えてください。
T.Y:社会課題となっている施設の老朽化対策の解決に向けて、GISによる台帳管理システムの活用に注力してきています。台帳管理システムとは、これまでに整備された社会インフラの様々な情報を管理するシステムのことです。新しいライフラインを整備するにも、既存のライフラインを維持・更新するにも、現状の実態把握が重要になります。従来までは紙ベース・人ベースで管理されていたものを体系的に整理してデータベース化することで、アセットマネジメントやストックマネジメントなどの維持管理計画の立案が精度良く確実に実施することができるようになります。また、このようなICT活用を積極的に行うことで建設DX推進にも貢献できます。
Y.F:わが社では10年以上前からレーザー計測技術を導入して、他社にはない高精度な機器と様々なノウハウ・実績を持っています。これまでは、道路や河川などの地上を中心に活用してきていますが、目に見えない地下部分の可視化についても取り組みを進めています。具体的には、レーザー計測によって取得した地上の空間データと、BIM/CIMモデルを用いて3次元で構築した地中埋設管の布設状況を合成して、様々な場面で活用しています。
T.Y:今後は、3次元計測した空間データを台帳管理システムと連携させて活用できたら、人口減少などの社会潮流が変化していく中でも、安全・安心で良質なライフラインを持続的に提供するために貢献していくことができると考えています。
また、AIを用いた劣化診断の効率化に向けた技術開発にも取り組んでいます。こうやって社会課題の解決に向けて積極的にチャレンジし、他社にはない高度な技術を創出・提供しつづけることで、いまよりももっと社会に貢献していきたいと考えています。
下水道事業におけるICT機器とBIM/CIMの融合例 TLSやハンディ型/ウェアラブル型スキャナーを用いて周辺地形の現況を計測。BIM/CIMによりマンホールや管路をモデル化して取り合いや施工計画を検討。
建築営繕事業におけるICT機器とBIM/CIMの融合例 TLSやハンディ型/ウェアラブル型スキャナーを用いて既設配管状況を計測・復元。既設配管状況を用いて改修対象となる配管等をモデル化して取り合い等を検証。
04. Future vision ライフライン分野が描く未来
今後は、どんなところにマーケットを広げていきたいですか。
民間事業にも裾野を広げて
T.Y:建設コンサルタントという業種上、国や地方自治体の事業に関わることが多いですが、これからはもっと民間にも裾野を広げていきたいと考えています。
例えば、民間企業の保有するプラントや工場です。これらも全国的に老朽化の課題が上げられています。当然、工場やプラントの中にも上水道と下水道が整備されているので、私たちがこれまでに蓄積したノウハウを活用して取り組めば、建設コンサルタントの活躍の場をもっと広げることができると考えています。
Y.F:現在こうした民間企業の保有するプラントや工場は、建設会社が設計と施工を一括で担当しています。今後は、他社にはない当社の技術・実績・研究開発成果などを活用して、建設会社をはじめとした多くの企業と協業しながら、今までにはない建設コンサルタントの価値を社会に向けて創造していきたいと思っています。その中で、我々が特に得意としている計画や設計の部分で貢献していければと思っています。
T.Y:同じように、水力発電事業は地方自治体や大手電力会社が行ってきました。最近では、経済産業省がFIT/FIP制度を定めて、再生可能エネルギー発電を行う事業者を増やし、再生エネルギー発電の導入を進めようとしています。これにより個人、企業、団体、自治体などが任意に共同事業体を組み発電事業を行うようになりました。こういった流れの中で、私たち建設コンサルタントの活躍の場はまだまだ増えていくと思っていますし、そのためにもいろいろなことにチャレンジを続けていく必要があると思っています。
世界に誇れる日本のライフラインを海外へ
Y.F:日本の上水道や下水道は、世界に誇れるものだと誇りを持っています。どこにいても安心してきれいな水が飲めるというのはやっぱり日本だけですし、世界に類を見ない速度で下水道を普及させたのも日本だけです。今後は、これまでに私たちが蓄積した技術やノウハウを活用して、発展途上国をはじめとした世界各地で安心・安全なライフラインを人々が利用することができるような社会になるように上下水道の整備や維持管理に関わっていきたいです。
T.Y:ODA(政府開発援助)で実施される発展途上国の支援事業を通じて「モノ」を作るだけでなく、世界中の人たちに私たちの技術やノウハウを伝えていくことで、たくさんの人たちの安全・安心な生活を支えていくことができれば、建設コンサルタントの技術者として何よりも大きな喜びになると思っています。
Y.F:こういったことをあと10年くらいの間に実現できるように、様々なことにチャレンジしています。今後は、「当たり前のように海外事業をやっている」というかたちを早くつくりたいです。そのために、「今」やれることは全部チャレンジしておきたいです。
Message これから一緒にはたらく皆さんに向けて
私たちの仕事は、暮らしの生命線。
ライフラインに関わる「真のコンサルタント」として
人々の安全・安心な生活を根底から支えていきましょう。
T.Y:私たちライフライン分野は、その名の通り社会生活の生命線です。もしも止まったら国民が生きていけない、だから絶対に止めらない、そういった使命感を持って働いています。
Y.F:様々な業務に深く携わるようになればなるほど、時代の流れが非常に早く、目まぐるしく変化していると感じるようになりました。毎年のように解決するべき社会課題が生まれ、それを解決する技術を社会から求められています。わが社は、会社としてこういった変化をチャンスととらえて、積極的にチャレンジしようという姿勢があります。国などの最新の情報を得ながら、常に新しい取り組みにチャレンジすることができるのは、技術者として大きなやりがいを感じています。
おわりに:ライフライン分野をどんな組織にしていきたいですか。
Y.F:社会資本整備への参画が主となるため、国や地方自治体から発注される業務に入札することで、様々なライフライン事業に参画していくことが多いです。しかし、これからはもっと自分たちで積極的に仕事を創ることが当たり前の組織にしていきたいです。いろいろな事業に参画する中で、私たちの技術やノウハウなどに国や地方自治体から高い評価をいただくことで信頼を獲得し、技術者一人一人が社会課題について国や地方自治体の職員と一緒に考える。その中で、建設コンサルタントとしてわが社全体の技術やノウハウを結集させて解決方法を提案していきたいです。
T.Y:建設コンサルタントというと、建築士などのように設計を行う職人さんのようなイメージを持つ方もいらっしゃるかと思います。ところが、様々な業務を行っていくと、「コンサルタント」として、相手の抱える課題に対して中立的な立場から最適な解決方法を提供するのが業務であると感じるようになります。技術力を養う必要があるのはもちろんですが、相手の抱える課題や目指したい将来などを共有するためには、コミュニケーション能力が非常に重要になると感じています。いま、私たちとは異なる分野の勉強やお仕事をされているかたでも、自分の強みや建設コンサルタントとしての「想い」をしっかり持っていれば、いかようにも伸ばしていける環境があります。私たちは、日々の業務をこなしながらも、様々な社会動向の変化や社会課題を機敏にとらえて、技術革新による解決によって社会貢献のチャンスに変えていけるような想いを共有できるメンバーを求めています。また、将来に向けてそのような技術者に成長していきたいという想いを持っているメンバーを求めています。
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